議会からの圧力を受けた財務省からもまもなく生まれた。
物語は奇妙な様相を帯びる。
最近の議会の風変わりな習慣の一つに、政府の支出増が余儀なくされたり、歳入が減るのが間違いなければ、どこでもいいからコストを削減するか、代わりの収入を見つけなければという気になるというのがある。
北米自由貿易協定(NAFTA)は関税収入の一部が減少したため、担当者は代わりの収入をかき集めようと躍起になった。
そして見つけたのが、一億四〇〇〇万ドル相当分で、企業に社員の給料や法人税を電子的に支払わせるという方法だった。
このためどんなシステムを創設するかは公開入札に掛けられたそれにFRBが応募して、当時下院の銀行委員会委員長だったヘンリー・ゴンザレスを激怒させたのである。
FRBは、この種の支払いを民間に任せることに決めた。
どうも楽観的すぎると思うのだが、財務省は、その新しいシステムに入れる納税者情報の提供について、すべての銀行に協力させる力がFRBにあるものと期待している。
国際競争力に不安を持つ(ただ言うだけではない)人々も、公然と圧力をかけそうだ。
ドイツのインテユイット社のプロダクト・マネジャー、マルクス・ライトウィースナーによると、「米国にはホーム・バンキングは全くない。
ドイツにはすでにある」という。
ドイツではすでに一〇〇万人がテレコム・オンラインを使って代金を払っている。
自分の銀行口座から直接お金を、請求書を送ってきた会社の銀行口座に送金することができる。
また日本は、現金社会から小切手の段階を飛び越して急速に電子支払いの社会に移行しつつある。
ブーズ・アレン&ハミルトン社が一九九六年夏に行った調査では、ヨーロッパの銀行の五六%が九七年までには「本格的なバンキングサービス」を提供しているだろうとのことだった。
今ある「昔ながらの」システムとこうしたサービスを統合させるには経験が必要と、この報告書の著者は言い、さらにこう結論づけた。
「しかも、顧客にとって取捨選択はますます容易になり、一方銀行にとっては他行とのウェプ・サイトの差別化がますます難しくなる、だろうインターネット上で金融サービスをまとめて提供できるノンバンクも競争相手である」米国でビデオテックスを復活させたのは、もちろんインターネットである。
誰もが使えるEメールと、世界中の誰かとその友人たちによって開設された検索可能な数百万のページに上る、ハイパー・ビデオテックスがインターネットである。
その巨大な神経網はモデムによって外部にメッセージを伝える数百万のコンピューターから電話回線を通じて(光ケーブルや同軸ケーブル、あるいは周波数スペクトルを使えば、もっと速く、効率的に信号を送れる)、広がっていく。
一九九五年九月、大手銀行が結成したグループであるフィナンシヤル・サーピシーズ・テクノロジー・コンソーシアムが、インターネットを通じた最初の記念の買い物をした(ギフト・ショップでテディーベアを買った)。
K銀行の上級部長の一人が、A・ゴア副大統領に対する感謝の印として買ったのである。
まずはクレジットカードをパソコンに取り付けられた差し入れ口に入れると、Eメールによって商店に電子小切手が送られる。
商店ではその小切手をバンク・オブ・ボストンの口座に送って入金し、バンク・オブ・ボストンはそれをK銀行のACH項目に変換した。
コンソーシアムの代表、シテイコープのダン・シユツツアーは、テディーベアの買い物を「大手銀行が。
最初から新たな金融上の基準作りのために協力した、初めてか劃俳」と述べて歓迎した。
ナイト・リッダーがビュートロンを宣伝し、Kはプロントを売っているが、インターネットの旗振り役たちは、インターネットを通じて行われる売買の手数料収入は段違いに大きくなると期待している。
この期待は、支払いの手段があればこそ実現できるもの。
一方、銀行は、インターネット・アクセスの便利さを活用し、専用回線を設けるコストを節約するため、インターネット上に店舗を開設できればと思う。
中にはフライングを犯す者まで出てきた。
インターネット・バンキングのパイオニアと聞いてこんな人物かなと思う、その想像にぴったり合うのがリー・スタイン(四二歳)である。
成熟したヒッピーの感じで、長く青白い顔、薄くなった髪を後ろで結い、じろりとこちらを見る。
情熱家だ。
楽しげに自分で説明するのだが、銀行業を学んだわけではなく専攻は法律で、その後ハリウッドで働いた経験を持ち、ロック・コンサートのマネージメントもしていたという。
彼がインターネットで金儲けするのに最初に思いついたのは、人がコンピューターのスイッチを入れた時、Eメールで毎日ジョークが送られるようにするというアイデアだった。
ジョークが気に入ればスタインに一ペニー払い、気に入らなければ払わない。
これはどうも実用的でない。
そこでスタインは銀行の方に目を向けたのであふ。
スローガンは「フアースト・バーチャルで未来をつかもう」。
事務所はどこにあるか尋ねたら、彼はきっとこう答えるだろう。
「私はサンディエゴに住んでいるが、事務所はフリーダイヤルの8〇〇番だ」と。
残念ながら、彼のカードには、「広報局番69」、つまりサンディエゴと書いてあった。
ファースト・バーチャルは、消費者がインターネットで居ながらにしてソフトと情報を文字通り、通信販売の商品も買えるという、一つの手段である。
インターネット上で販売をする者は一〇ドル払って、ファースト・バーチャルに口座を作る。
ファースト・バーチャルは、その販売者が受け取った注文を処理するのだが、購入者のVやMカード、デイスカバーなどのカードを通常の方法で確認を行う(買い手は、ファースト・バーチャルを使って最初に買い物をした時だけ二ドル払う。
以降は手数料はかからない。
売り手は、買い手のカード番号を知ることはできない)。
カードによる支払いはファースト・バーチャルにある売り手の口座に振り込まれるが、ファースト・バーチャルの手数料として、〇・二九ドル、プラス販売額の二%、それに「振り込み」一件につき「決済手数料」一ドルが差し引かれる。
売り手が、注文に応じるため買い手の住所を探してそのコンピューターにダウンロードする手聞を嫌がった場合、ファースト・バーチャルには「保管、配達、代金請求の仕事」を行うインフォハウスがある。
これは販売価格の入%と情報の保管料として毎月一メガバイトごとに一・五ドルを払えば、サービスを受けることができる。
一九九六年六月、スタインが新たに獲得した事業の担当副部長J・J・ドネガンは、最初の二年間にファースト・バーチャルは「一八万四〇〇〇件以上の取引を決済した」と胸を張った。
「そのほとソフトウエアや文書、そのほか、電子的に配達できる知的財産だった。
現在、ファースト・バーチャルは一四〇カ国以上に顧客一四万五〇〇〇人以上、商店は一人〇〇店以上を抱えるまでに成長している」EDSはお金を動かし、帳簿記入を処理し、ファーストUSAは商店を獲得する。
米国最大のクレジットカード発行会社、ファーストUSAが、九五年後期に、ファースト・バーチャルの一部分を購入した。
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